GIF AMME-TF 2021 サーベイ


 原子力発電所は、大規模な集中型電気網のベースロード電源として導入されるだけでなく、分散型、地域限定型、場合によっては遠隔型電気供給源として、変動エネルギー源を補完する可能性が高まっています。この新しいパラダイムで原子力エネルギーが競争するためには、原子力業界は特定の重要な特性に焦点を当てる必要があります。例えば、強化された安全機能を内蔵したプラント設計や、初期の資本コストを低く抑えることに重点を置いた設計、建設スケジュールの短縮化などにより、原子力は、単にプラント寿命期間中の平準化コスト(LCOE)だけではなく、投資に必要な資本コスト(overnight capital cost)を考慮し、設計/運転し、競争していくことが可能になり、社会的な評価を高めることができます。さらに、これからの低炭素エネルギーシステムにおける原子力エネルギーの占める役割から、非電気的用途(地域暖房、工業用プロセス熱、クリーン水素、合成燃料)や柔軟性(負荷追従)などの要素を考慮していく必要があります。
 これらの先進的な原子炉技術を計画スケジュール通り、計画予算内で開発していくためには、特に先進的な製造や材料工学の分野における適用可能技術と原子力サプライチェーンの革新が必要です。しかし、原子力設計規格では、通常、認定された材料やプロセスしか使用できないことになっています。新しい材料や新しい製造プロセスを認可するには、長くて面倒な手続きが必要です。さらに、現在の先進的な製造業の発展は、新しい材料や方法を認定し、設計コードに導入する能力よりもはるかに速く発展しているため、技術革新が阻害され、導入が進まない可能性があります。革新的な材料や機器を採用した先進的な原子炉を合理的な期間で市場に投入するためには、これらの問題に対処する必要があります。

 このような問題に対処するため、GIF AMMEタスクフォースが設立されました。このタスクフォースの主目的は、次世代炉の導入に必要となる時間や工程の短縮に寄与すると期待されている、先進的な製造技術と材料工学技術を特定し、その利用を促進することです。

 AMME暫定タスクフォースは2019年に初期サーベイを行い、その結果に基づき、2020年2月にGIF Workshop on Advanced Manufacturingを開催しました。このワークショップの目的は、先進的な製造技術と材料工学技術を導入する期間を短縮するために、どのような協力が可能かを意見交換することでした。 このワークショップから得た示唆に基づき、Qualification (認定方法)、Demonstration and Deployment (実証方法)、Design & Modeling (設計手法)の分野に関し、活動を行うタスクフォースが正式に発足しました。

 GIF AMMEタスクフォースは、AMME技術への期待、現状の認定体系と将来への期待、モデリング/シミュレーション技術の見通し、国際協働への参加意欲に関し、AMME技術関係者(開発者、認定者、政策関係者、ユーザー等)の意見をサーベイし、開発方針に盛り込むために、2回目のサーベイを開始しました。タスクフォースは、本結果を分析し、第2回目のワークショップを2021年内に開催する予定です。


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サーベイ内容は以下の通りです。

  • Q1~7:総論
  •  (Q1,2) 回答者の性質に関するもの(分野、国)
  •  (Q3-6) AMME技術への期待(対象製品/材料/技術、参加/関与方法)

  • Q8~16:Qualification (認定方法)
  •  (Q8-11) 現状の規制体系/方法
  •  (Q12-14) 将来のAMME認定に関する見通し/期待(開発分野/他産業における関連分野、展開方法)
  •  (Q15)  認定に関する国際協働への参加意欲

  • Q17~21:Demonstration and Deployment (実証方法)
  •  (Q17,18) モデリング/シミュレーション技術の見通し/期待
  •  (Q19-21) モデリング/シミュレーションに関する国際協働への参加意欲

  • Q22~25:その他
  •  (Q22-25) 国際協働への参加意欲とその際の連絡先