上出GIF議長からのメッセージ


 2019年1月から、第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)の議長を務めているJAEA 高速炉・新型炉研究開発部門の上出英樹です。みなさまに、GIFの目的、推進方法、将来像について紹介し、GIFが目指す第4世代炉が拓く未来についてお話したいと思います。

1)GIFの目的

  •  GIFは加盟国の政府レベルの代表者が集まり、第4世代原子炉システムの開発・実用化を促進する国際協力を行っている国際的組織です。現在、発電を担っている第3世代原子炉の次の世代となる第4世代炉について、GIFは以下の4つの目標を掲げて開発協力を進めています。

    1. 安全性、
    2. 燃料供給を含む持続的利用性、
    3. 炉の建設・運転などの経済性、
    4. 核爆弾への転用防止や核燃料を奪うテロなどへの耐性

  •  第4世代炉として、これまで以上の高い目標を掲げており、水に限らずナトリウムや鉛を冷却材として使うことで、原子核の反応を司る中性子の利用効率を上げることができます。4つの目標を実現する上で、冷却材の異なる6種類の炉システムを選び、それぞれの開発協力を進めています。
  •  世界のエネルギー環境は、近年大きく変化しています。特に、地球温暖化に対して脱炭素社会の実現は世界的な重要課題であり、原子力は二酸化炭素をださないクリーンエネルギーと言えます。
    • 太陽光発電や風力は本質的に短期長期の変動が避けられないことから、エネルギー供給の信頼性と安定性向上、コスト低減のためには、脱炭素で安定な原子力が大きな役割を果たせると考えています。
    • 第4世代原子炉システムは、現行の軽水炉より高い温度で運転することから電気を起こす以外にその熱を利用しやすいなど、再生可能エネルギーと組合せた時に、経済性を含めて高い性能が期待できます。
  •  このような開発を国際協力により効率的に行うことを目指しています。

2)GIFの推進方法
  •  GIFでは、第4世代炉の開発にかかる国際協力を進めていますが、重要な推進ポイントを議長として4点あげています。

    1. 安全設計と国際標準としての規制への貢献
    2. 第4世代炉の社会市場での魅力:柔軟性の向上
    3. R&D協力の一層の促進
    4. GIF成果の世界への発信

  •  始めの3項目は、3名の副議長が自らのミッションとして進めています。6つの炉システム開発と上記の連携をTechnical Directorが、技術的な運営をOECD/NEAの技術秘書が担当しています。
  1. 安全設計と規制は、米国のCaponiti副議長が担当しています。
    • ナトリウム冷却炉の安全設計が満たすべき要件とそれを具体に展開する指針を構築し、事実上の国際標準として評価を得ています。
    • 今後は、ナトリウム冷却炉以外の炉システムに広げるとともに、IAEAと連携し、規制側からみた国際標準にむけて活動していきます。

  2. 市場での魅力、柔軟性の向上は、フランスのPivet副議長が担当しています。
    • 脱炭素化に向けて運転温度が高いことの活用など、再生可能エネルギーとの調和を含む柔軟性を高める開発協力、並びに社会にむけて第4世代炉の魅力アピールを展開します。

  3. R&D協力の促進は、韓国のBaek副議長が担当しています。
    • 材料や製造技術など革新技術や小型炉開発からのニーズの取り込み、安全基準に向けての研究開発や機器の実証試験など、各国の研究開発施設を使った共同研究の促進を図ります。

  4. GIF成果の発信は、議長がリードしGIF全体で取り組んでいます。同時に、これは若い世代に向けた技術伝承の課題でもあると考えています。
    • 政策レベルに向けては、CEM10(Clean Energy Ministerialの第10回会合)、Breakthrough Side Eventで、第4世代炉をアピールしています。
    • 技術伝承では、専門家が各炉システムの特徴、安全性をinteractiveに講義するWebinarを継続しており、この2月には日本から第36回を発信しています。

3)GIFの協力の先に
  •  GIFの目指す目標は、持続的なエネルギー供給に貢献する第4世代炉を実現する国際協力の促進です。第4世代炉は向こう千年に亘って持続的にエネルギーを安定して世界に供給できる、そんな技術です。
  •  原子力を取り巻く課題を解決するために、研究開発を促進し安全性を含む技術の世界標準を構築すること、政策レベルを含む様々なステークホルダーに第4世代炉の開発意義とその実力を示していくことが重用です。GIFが国レベルの国際組織であることの特徴を最大限生かして活動する中で、これらを実現できると考えています。



 GIFはこのような目標に向かい、開発国同士がお互いに協力し、脱炭素化と持続的なエネルギー供給に貢献していきます。原子力のもつ可能性を大きく拡大できる第4世代炉について、興味をもっていただければ幸甚です。第4世代炉の開発には、安全性や持続可能性を高める技術力だけでなく、人々が安心してその成果を享受できるよう信頼性を確認し、持続的に高めていくことが必要になります。国際協力は、これらの両方に大きな力となると信じ、GIFはその一端を担っていくものです。

議長就任時のプレス発表内容
https://www.jaea.go.jp/02/press2018/p18102201/

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活動紹介リーフレット