第4世代原子力システム国際フォーラムについて


1. 第4世代原子力システム国際フォーラムとは

  • 第4世代原子力システムの研究開発を開発国間で協力/推進することを目的に2001年7月に発足した国際協力の枠組み。2030年代の商業導入を目指している。
  • 2025年9月現在、10ヶ国1機関(豪州カナダ、フランス、日本、中国韓国南アフリカ、スイス、英国及び米国及びユーラトム)が参加。(現在枠組協定改定に伴う手続中。下線は署名未完了であるが参加が見込まれる国/機関)

2. 第4世代原子力システムとは

  • 「第1世代」(初期の原型炉的な炉)、「第2世代」(現行の軽水炉等)、「第3世代」(改良型軽水炉、東電柏崎刈羽のABWR等)に続く、次世代の原子炉概念(図1)
  • 下記開発目標を満たす革新的原子炉システム。図2に示す6システムを2002年に選定。
  • 持続可能性
    • 燃料の効率的利用
    • 廃棄物の最小化と管理
  • 安全性・信頼性
    • 安全で信頼できる運転
    • 炉心損傷の発生頻度が極めて低く炉心損傷程度も小さい
    • 敷地外の緊急時対応不要
  • 経済性
    • 他のエネルギー源を凌駕するライフサイクル・コスト
    • 他のエネルギープロジェクトと比肩する金融リスク
  • 核拡散抵抗性・核物質防護
    • 軍事転用の魅力度が低く盗取困難
    • 耐テロ性

  • 第4世代原子力システムに関し、よく聞かれる質問

図1:原子力システムの世代




図2:GIFにおいて選定された第4世代原子炉システム



3. GIF発足からこれまでの経緯

1999年米国が第4世代原子力システム概念とその研究開発のための枠組みとしてGIFの構築を提唱(表1)
2000年1月「GIF設置に関する共同声明」発出
2001年7月GIF憲章署名(開発理念を定める)(表1)
2002年7月100を超える炉概念からGIFの研究開発対象として6システムを選定
2002年12月技術ロードマップを策定
2005年2月枠組協定(FA)署名(研究開発協力の枠組みを規定する国際約束)(表1)
2006年4システムについてシステム取決め(SA)署名(その後、適宜、参加希望国が追加署名)、その後、研究開発計画を定めたプロジェクト取決め(PA)に順次署名
2010年2システムについて覚書(MOU)署名
2011年7月GIF憲章の延長署名(以後、自動延長)
2014年1月研究開発の進捗から技術ロードマップを改定
2015年2月枠組協定の延長(2025年2月28日まで)
2025年2月枠組協定の改訂(2035年2月28日まで)。同時に、GIF憲章をガバナンス文書としない方針に変更。

表1:GIF枠組協定締約国(2025年4月現在)

参加国・機関
(憲章署名国)
実施機関枠組
協定※
システム取決め覚書
GFRSCWRSFRVHTRLFRMSR
豪州豪州核科学技術機構(ANSTO) xx
カナダカナダ天然資源省(NRCan) xxx
ユーラトム共同研究センター(JRC) xxxxxx
フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)Jan. 2025xxxx
日本資源エネルギー庁(ANRE/SA)
原子力機構(JAEA/SA)
〔東京工業大学(TiT/MoU)〕
Jan. 2025J/KUANRE/WUJAEAJAEATiT
韓国科学技術情報通信部(MSIT)
韓国原子力研究院(KAERI)
韓国原子力国際協力財団(KONICOF)
xxxx
中国中国国家原子能機構(CAEA)
中国科学技術部(MOST)
xxxx
南アフリカエネルギー省(DoE)
スイスポール・シェラー研究所(PSI)Jan. 2025xx
英国エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)Feb. 2025xx
米国エネルギー省(DOE)Nov. 2024xxxx
  • ※日本の参加状況の補足:
     GFR-SSC:JAEA、GFR FC PMB:京都大学(KU)。SCWR-SSC:資源エネルギー庁(ANRE)/早稲田大学(WU)。
     SFR-SSC/PMB:JAEA。VHTR-SSC/PMB:JAEA。
     LFR 暫定SSC:東工大(TiT)。MSR 暫定SSC:オブザーバ参加(溶融塩炉国際フォーラム)。

  • ※枠組協定の補足:
     2005年4月に枠組協定に署名。2015年2月に枠組延長協定に署名(外務省)。



4. 運営体制(表2及び図4)

  • 政策グループ(PG)がGIF全体の枠組み、財政を含むGIF政策(運営)にかかる決定責任を負う。米仏日韓加の5ヶ国が議長・副議長国となり、主導的役割を果たしている。
  • 専門家グループ(EG)は、政策グループへの技術的助言・諮問機関として提案を行う。
  • システム毎に置かれるシステム運営委員会(SSC)が、研究開発計画の立案・進捗管理を行う。
  • プロジェクト毎に置かれるプロジェクト管理委員会(PMB)が、各プロジェクトの研究開発計画の立案等を行う。
  • リスク・安全性、経済性モデル、核拡散抵抗性・核物質防護についての評価手法検討ワーキンググループ(MWG)が、横断的な評価手法の整備を進める。また、教育・訓練ワーキンググループ(ETWG)が教育情報発信・ネットワーク活動を実施。その他、原子力熱の非電力、コジェネ適用ワーキンググループ(NECAWG)及び革新的製造・材料工学ワーキンググループ(AMMEWG)が活動中。
  • 政策事務局(PS)が政策グループ及び専門家グループの事務局を、技術事務局(TS)が各委員会の事務を務める。
  • 上級産業界諮問パネル(SIAP)は産業界の視点から各炉システムの開発をレビューしたり、開発の方向性をアドバイスする。


※図をクリックするとpptxファイルが開きます。

図4:各GIF組織



表2:各GIF組織の機能等

組織名称機能日本の貢献・その他備考
政策グループ
(PG:Policy Group)
(日本の貢献・その他備考)
全体的な枠組み・財政を含む政策(運営)に関する決定・他機関との交流に責任を有する。 各国2名以下。日本はこれまで副議長あるいは議長を歴任。
2019-2021は議長、2022-2024は副議長)
専門家グループ
(EG:Expert Group)
炉システム/評価法開発等の進捗をレビューし、PGに報告する。 JAEAより委員として参加。
上級産業界諮問パネル
(SIAP:Senior Industry Advisory Panel)
産業界の視点からシステム開発の進捗をレビューするとともに、開発の方向性をアドバイスする。 原電及びMHIより参加。
システム運営委員会
(SSC:System Steering Committee)
各システムの研究開発計画(ロードマップ)の立案、推進。システム毎に設置されている。LFR/MSRはProvisional SSCとして情報交換が行われている。 MSR以外の各システムに委員として参加。MSRはオブザーバー参加。SFRの議長を日本が務める。
(SFRは、米仏日が2年交代で、議長を務める)
プロジェクト管理委員会
(PMB:Project Management Board)
SSCの支援の下、システム研究計画に沿って、各プロジェクトの研究開発の立案・見直し・実施を行う。プロジェクト毎に設置されている。 各プロジェクトにJAEA、大学から委員が参加。
評価手法検討ワーキンググループ
(Methodology Working Group)
①リスク・安全性、②経済性、③核拡散抵抗性・核物質防護、④教育・訓練、⑤革新的製造・材料工学、⑥原子力熱の非電力およびコジェネ適用の6つのグループがあり、評価手法を検討するとともに、教育・訓練に関する機会を提供する。 各WGにJAEAから委員として参加。
タスクフォース
(TF:Task Force)
個別課題に対する解決策を検討する期間限定グループ。SDC-TFは、日本の提案により設立され、日本のリードにより、各システムに対する安全クライテリア(SDCあるいはSDG)が構築された。 SDC-TFにおいて、設立当初から、JAEAが議長を務めた(米が副議長)。
政策事務局
(PS:Policy Secretariat)
政策グループ議長/副議長を補佐し、PG及びEGをリードする。 政策事務局の技術秘書は、OECD/NEAの技術秘書長が務めている。
技術部長はEG議長を兼任する。
技術事務局
(TS:Technical Secretariat)
各種会合、予算運用等の事務局を務める。 各締約国からのコストフリーエキスパート(日本からも派遣)とNEA職員が共同して実施。


5. 他の国際機関との協力関係など

  •  GIFはIAEA、OECD/NEAと近接な協力関係にあります。また、次世代炉を発展させていく新たな機会を共有していくために、 GIF公開シンポジウムやワークショップを継続的に開催し、ステークホルダーとのコミュニケーションを図っています。